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弁護士による自己破産@松阪

Q&A

自己破産をしても車を残すことはできるのでしょうか?

  • 文責:所長 弁護士 寺井渉
  • 最終更新日:2023年2月24日

1 自動車を残したい方へ

交通網の発達した都市部は例外として、自動車がなければ、日常生活は非常に不便なものとなります。

そのため、破産せざるを得ないけど、自動車は残したいという声をしばしば耳にしますが、破産法34条1項は、保有する一切の財産が対象になると規定しています。

以上のことを踏まえ、自動車を残すことができるか否かにつき、説明します。

2 自由財産の拡張

自由財産とは、破産財団に属さず、破産者において自由に管理処分できる財産のことです。

破産法34条4項は、破産者の申立て又は裁判所の職権で、自由財産として取り扱うことを決定することができると規定しています。

これが自由財産拡張制度と言われるものです。

自由財産の拡張が認められる基準は、各地の運用による若干の差異はあるものの、一般に、①財産内容が破産者の経済的再生のために必要であること(拡張適格財産性の審査)、②財産総額が自由財産と許容できる範囲内であること(99万円枠の審査)、とされています。

自動車は、いわゆる定型的拡張適格財産の1つと取り扱われていることから、①の審査基準は基本的に満たしていると思われます。

となると、現金に加え、自動車も含めた拡張適格財産の合計額が99万以下となるかが、最大のポイントと言えるでしょう。

99万を超過する場合も、超過部分に相当する現金を破産財団に組み入れることによって、実質的に拡張を求める額を99万円以下とする運用が、広く行われている模様です。

では、どうしても、自動車を含む拡張適格財産の額が99万円を超える場合は、破産財団に組み込まれて換価・配当の対象となってしまうのでしょうか?

一部の地裁では、不可欠性の要件による判断が行われています。

すなわち、破産者の生活状況や今後の収入見込み、拡張を求める財産の種類・金額、その他の個別的な事情に照らして、99万円超か部分の財産が破産者の経済的再生に必要不可欠であるという特段の事情が認められるかというものです。

かなり厳格な審査基準ですが、前記特段の事情が認められると判断されれば、自動車を残せる余地はあります。

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